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線形代数をわかりやすく(3) 基底と張る空間

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はじめに

本記事は線形空間論の勉強をしたまとめです。 私の理解が誤っている可能性がありますので、その際は優しく指摘していただけると嬉しいです。

 \mathbb{R}^nの基底と張る空間

 \mathbb{R}^nの基底


ベクトルの組 v_1, v_2, \cdots, v_m \in \mathbb{R}^nが以下2つの性質を両方満たすとき、ベクトルの組 v_1, v_2, \cdots, v_m \mathbb{R}基底という。

  1. 任意のベクトル v \in \mathbb{R}^n v_1, v_2, \cdots, v_mの線形結合で表せる。
 \displaystyle
\forall v \in \mathbb{R}^n, \exists c_1, c_2, \cdots, c_m \in \mathbb{R} \hspace{4mm} \mathrm{s.t.} \hspace{4mm}
c_{1} v_{1} + c_{2} v_{2} + \cdots + c_{m} v_{m} = v
  1. 線形独立である。

もう少しかみ砕いて言うと、 \mathbb{R}^ nという広い空間をベクトルの和とスカラ倍だけで網羅するために最低限必要なベクトルはどれとどれとどれでしょう?ということだ。
前回から出している色の例なら、いわゆる3原色(赤・青・緑)なんかがいい例だ。3原色を混ぜ合わせたり薄めたり濃くしたりすることですべての色を表現できる。

より数学的な例は以下などがある。

(例1)  e_1=(1, 0), e_2=(0, 1) \mathbb{R}^2の基底

(例2)  v_1=(1, 0, 0), v_2=(0, 1, 0), v_3=(0, 1, 1) \mathbb{R}^3の基底

(例3)  v_1=(1, 0, 0), v_2=(0, 1, 0), v_3=(1, 1, 0) \mathbb{R}^3の基底でない

(例4)  v_1=(1, 0, 0), v_2=(0, 1, 0) \mathbb{R}^3の基底でない

基底という言葉は、ある空間に対して、ベクトルのに名付けられるものである。 なので「ベクトル v \mathbb{R}^nの基底である」みたいな言い方はおかしい。

また、基底は一意に定まるものではない。 例えば \mathbb{R}^3の基底は上の(例2)のようにしてもいいし、 v_1=(1, 1, 0), v_2=(0, 1, 1), v_3=(1, 0, 1)のようにしてもいい。

幾何学的にイメージするなら、  \mathbb{R}^2の基底は同じ直線上にない2本のベクトル、 \mathbb{R}^3の基底は同じ平面上にない3本のベクトルの組を表す。

次元


 \mathbb{R}^nの次元とは、 \mathbb{R}^nの基底をなすベクトルの数である。


 \mathbb{R}^nの次元は、基底の取り方によらず nになる。(これはつまり、 \mathbb{R}^nの基底は必ず n個のベクトルになることを意味する。)

張る空間


ベクトルの組 v_1, v_2, \cdots, v_m \in \mathbb{R}^nの線形結合全体を v_1, v_2, \cdots, v_m \in \mathbb{R}^n張る空間といい、 \langle v_1, v_2, \cdots, v_m \rangleで表す。

 \displaystyle
 \langle v_1, v_2, \cdots, v_m \rangle = \{ c_{1} v_{1} + c_{2} v_{2} + \cdots + c_{m} v_{m} | c_1, c_2, \cdots, c_m \in \mathbb{R} \}

これも色の例で言うと、例えば赤と緑という2色の絵具(と水)を使って作れる色すべてを集めたものが赤色と緑色の張る空間である。

幾何学的には、例えば \mathbb{R}^3内の1つのベクトルが張る空間は、そのベクトルに沿う直線であり、同一直線上にない2つのベクトルが張る空間は、それらが載る平面である。 さらに、同一平面上にない3つ以上のベクトルが張る空間は、それらが存在する立体空間、つまり \mathbb{R}^3である。

なお、 v_1, v_2, \cdots, v_m n次元実数ベクトルであれば何でもいい。 同じ平面にあってもいいし、同じ直線上にあってもいい。 また、ベクトルの数もいくつでもいい。ベクトルが1つもない場合は \langle \, \rangle = \emptysetとなるだけである。

参考文献

線形空間論入門

線形空間論入門

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